五色で見る日本刀の評価

日本刀の歴史における、最高の鑑識家が書いた本には、日本刀は位を極めると色を見ればわかる、より良い日本刀ほど鍛えた刃は白くなり、地鉄は青くなると述べられています。地鉄とは、日本刀の刀身に見られる文様で、代表的なものとして波打つように見える文様があります。名工の日本刀に対して、鑑定書で肌が青いと説明されるときがあります。実際に日本刀を見ると、青く澄んだ鉄に見えると思います。その青には見るものの心を日本刀の奥深さや美しさに引き込んでいく魅力があるのです。

昔の日本刀や刀工が書かれている本には、刀工の評価や日本刀の色まで、詳しく書かれているものがあります。その本によると、まず「上々」つまり、とても良いと評価された刀工の日本刀に対して、地鉄の色が青く紫に見えると述べられています。次に「上」つまり、良いと評価された刀工の日本刀に対して、青く見えるが赤みもあると述べられています。その“赤み”というのが実際に、どのような色だったのかは、わかっていません。ただし、「上々」の評価には、はっきり青く見えると表現されていて、「上」には赤みがあると表現されていることがわかります。また、その本の後の時代では、「中上」と評価された刀工の日本刀に対して、青く見えるが上には黒みがあると述べられています。さらに「下の上」と評価された刀工の日本刀に対して、地鉄が黒く刃が青いと述べられています。

このように見ていくと、日本刀は白・青・紫・赤・黒という五つの色によって評価されてきたと考えられます。このような鉄に対して色によって評価する意識は、中国における水墨画の墨に五つの彩りがあるという概念が入ってきたのではないかと考えられる。

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