同田貫

肥後国(熊本県)の刀匠集団・岡田貫の太刀は、質素で飾り気がなく、武骨で田舎くさい。鑑賞価値に乏しく、「折れず曲がらず岡田貫」の実戦重視の作刀である。 なかでも有名なのが、「正園」。朝鮮の役での働きが評価され、加藤清正から一字 を賜ったという銘を切る太刀である。実用一辺倒のこの太刀と、武道一直醸の清正には、通じるところが多い。岡田貫の名を広く世に知らしめたのは、明治一九年 (1886) に行われた天覧兜割りだ。当時の有名剣術家らが集まる中、岡田貫を携えて兜割りに挑んだのは、榊原鍵吉。廃刀令による剣術の受難期に、見世物興行を催してそのピンチを救った立役者である。 挑戦者が次々と失敗する中、鍵吉はみごと南蛮鉄の兜に斬り込みを入れ、剣豪としての名声を高めると同時に、岡田貫の斬れ味を証明した。 「九州肥後岡田貫藤原正園」の銘が切られた太刀は、現在、熊本県指定有形文化財に指定され、熊本市の本妙寺が所蔵している。 ちなみにこの岡田貫、映画やテレビドラマでも人気を博した愛万としても有名である。